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腫瘍科

腫瘍科について

以前は癌(悪性腫瘍)というと治療法はなく、その将来は絶望的なものでした(あまりに治る見込みがなかったために告知=死の宣告となってしまった時代もあります)。しかし、医療の進歩により一部の悪性腫瘍では完全に取り除いたり(根治)、生涯に渡ってコントロールすることでQOLを保てたりする可能性が広がり、悪性腫瘍に対する対策も日々変化しています。

癌と一口に言っても様々な種類があります。癌は無限増殖能を獲得した元になる細胞があり、その細胞が体の防御システム(免疫)をくぐり抜けて成長します。由来となる細胞によって各腫瘍の特徴も異なり、その対策も様々です。各悪性腫瘍の特徴を把握した上で、治療を進めていくことが重要です。

また、人では悪性腫瘍を通してターミナルケア、ホスピスといった死をどのように受け入れていくかという分野の研究も進んでいます。一般に悪性腫瘍による死は他の疾患に比べ緩やかで自分の死期が想定できてしまうことが多くなります。このことが却って私たちに葛藤を生むことになります。悩まれた際は遠慮なく当院の腫瘍科までご相談下さい。もしかしたら治療の可能性を見つけられるかもしれません。あるいは、それが叶わなかった時にどのように大切な伴侶との時間を過ごすべきなのか微力ながらお手伝い致します。

担当医

池田、布川(智)

検査

腫瘍が疑われる場合、その種類や悪性度を特定するために必要に応じて以下の検査を行います。

細胞診
腫瘍が疑われる箇所の細胞を検査するために、細い針で患部の細胞を採取し顕微鏡下にて細胞の形態を検査します。100%の診断は難しいものの、腫瘍の悪性や良性、さらに腫瘍細胞のおおまかな分類を明らかにします。中にはこの検査のみで診断できる腫瘍もあります。
動物への負担は比較的軽いため、腫瘍が疑われるときは基本検査として行います。ただし、腹腔内臓器を対象に行う場合は超音波装置を使って行うなど細心の注意を払って行い、出血のリスクを伴う時は回避します。
画像検査
画像検査(レントゲン、CTまたはMRI検査)によって腫瘍の位置、大きさ、組織への浸潤の程度を把握できるとともに、転移の有無を調べます。
病理検査
腫瘍と疑われる患部の組織を取り除き、その細胞の種類や組織の変化を顕微鏡で捉えて病気の診断を行います。
腫瘍の診療においては最終的診断方法の一つであり、腫瘍の特定とともに良性病変か悪性かを判定します。
患部の場所にもよりますが、組織を採取するため動物への負担は大きくなります(例えば、体にできたしこりを病理検査するためには、そのしこりの一部あるいは全部を切り取って採取する必要があります)。したがって鎮痛を含めた鎮静または全身麻酔が通常は必要になります。
遺伝子検査
一部の悪性腫瘍においては遺伝子検査が有効なものもあり、遺伝子の型を特定することで治療方針を決めていきます。

治療

腫瘍の特徴に合わせて以下の治療法を組み合わせて行います。

外科療法
腫瘍またはそれが疑われる箇所を外科的手術によって取り除くものです。腫瘍の種類によっては根治も見込める方法であります。腫瘍の減量を目的に行われることもあり、手術後の化学療法にスムーズに繋げる手段にもなります。また根治の見込めない腫瘍であっても、局所的に取り除くことによって動物の苦痛を取り除き、生活の質(Quality of Life)を向上させてあげることができます。腫瘍の種類、位置そして大きさに合わせて摘出を行います。
外科摘出に合わせて病理検査を同時に行うことが可能です。外科療法は動物への負担が大きいため、適切な麻酔管理のもとで行います。
化学療法
いわゆる抗癌剤治療のことを言います。
例えば、腫瘍細胞が全身に拡がって存在している場合(リンパ腫、白血病など)には抗癌剤を全身投与することによって腫瘍細胞を破壊します。抗癌剤にも多くの種類があり、それらを組み合わせて投与します。
また局所に塊を形成する悪性腫瘍に対して、肺を含む他臓器への転移を可能な限り防ぐといった目的でも投与することがあります。
この抗癌剤治療に関して、「副作用は大丈夫なの?」といった懸念が根強く残っています。抗癌剤は増殖し続ける腫瘍細胞を破壊するのと同時に、正常な細胞にも影響を与え、とりわけ細胞増殖の活発な組織(骨髄や消化器)に障害がみられます。また各抗癌剤の代謝などの特性によって肝臓や腎臓に悪影響を及ぼすものもあります。しかし、抗癌剤を投与する際にはそれらの副作用を最小限にするために、予め一般状態の確認、血液検査、画像検査を行い、それらを基に投与量を決定します。必要に応じて点滴を行い、投与後の状態も注意深くみていきます。
放射線療法
放射線によって腫瘍細胞を破壊し、腫瘍の減量を主な目的として行います。
特に外科的摘出が難しい箇所(鼻腔内や頭蓋骨)には非常に有効な場合があります。当院では放射線装置は備えておりませんが、必要に応じて獣医科大学などの機関をご紹介します。
分子標的療法
ある種の腫瘍には、その腫瘍に特異的に発現している分子や酵素があり、それを阻害することで治療効果がある分子標的薬が獣医領域でも使用できるようになりました。抗がん剤は腫瘍細胞とともに増殖する細胞も作用してしまい、副作用が大きい場合もありますが、分子標的薬は腫瘍に発現している分子をターゲットにしているため、より副作用が少ない可能性があります。
再生医療・免疫療法

最後に

当院の腫瘍科では上記の検査や治療に関する知識・技術の向上とともに、飼主様に腫瘍に対する向き合い方を啓蒙(アドバイス)することにも力を注いでいます。飼主様と我々がチームを組むことによってお互いの理解を深め、家族であるペットへの最善の治療・ケアを考えていきましょう。

腫瘍科 症例報告

当院の腫瘍科で実際に施術を行った症例の報告です。