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セミナー参加

こんにちは。獣医師の池田です。

先月、Veterinary Endopscopy Japanという
小動物の内視鏡手術講習会に出席してきました。

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この講習会では、
犬の腹腔鏡下胆嚢摘出を初めて論文にまとめて報告されたDr.Mayhewが出席されていました。
現在もアメリカの最小侵襲手術の普及のため第一線でご活躍されているドクターで、
8年ほど前に私が腹腔鏡手術を始める際に基本を教えていただいた先生でもあります。

また、私の大学時代からの恩師である浅野先生が座長を務められ、
日本の小動物医療における腹腔鏡手術の先駆者である江原先生金井先生の講義もあり、
とても学ぶことの多い講習会でした。

その他にも人医療における腹腔鏡手術のエキスパートである萩原先生もいらっしゃって、
人医療と獣医療における腹腔鏡手術の違いこれからの展望について、
様々な貴重なご意見をいただくことができました。

現在、人の医療おいて腹腔鏡手術は多数の術式が保険収載され、
特殊な手術という位置付けではなく、一般的に選択される手術方法として普及しています。

その背景にはやはり術後の負担の少なさがあり、
この点については動物においても同様に期待されるところです。

しかし、動物においては機器のコストや医療体制の問題(1人では実施できない)、
手術侵襲に対する認識の違い(動物は人にくらべ痛みを訴える手段が限られ、伝わりにくい)から、
腹腔鏡を行っている先生はまだまだ少ないのが実情です。

また、腹腔鏡手術は操作の特殊性から開腹手術との対比がよく行われ、
中でも危険性についてクローズアップされることが多い手術です。

私も腹腔鏡による手術を始める以前は、
難しくて危険だろうという先入観がありました。

ただ、実際に腹腔鏡手術を行うようになってから8年ほど経ち、
腹腔鏡だから危なくて開腹手術だから安全ということは言えないと感じるようになりました。

腹腔鏡には内視鏡特有の手技と方法があり、
その原則が開腹手術とはいくつかの点で異なりますが、
それらを理解して行う限り、腹腔鏡だから危ないということはありません。

むしろ、切開創の割に視野がよく、慣れてしまえば細かな操作も十分行うことができ、
また手術に参加するものが視野を共有しやすいため、
安全面において開腹手術よりも優れる点もあります

大切なことは、腹腔鏡で安全に行うための知識と手技をしっかりと見に付けることで、
結局それは開腹手術に臨む際に心がけることと同様のことでもあります。

 

私が現在、腹腔鏡および胸腔鏡で行っている手術は、
避妊手術(卵巣、子宮摘出)
腹腔内精巣(陰睾)摘出
予防的胃固定
膀胱結石摘出
胆嚢摘出
腎臓摘出
副腎摘出
胸管結紮
各種生検(肝臓、膵臓、腎臓、心膜、胸膜)
などです。

 

取り組み始めた頃は、比較的手技が容易な避妊手術を中心に行っていましたが、
理解が進み、技術面での自信がつくに連れ、徐々に実施可能な手術が増えていきました。

実施した中にはなかなか思うようにスムーズに進まず、苦労した経験もあります。
それによって負担をかけてしまった際には大変いたたまれない思いに沈むこともあります。

ただ、やはり負担が少ないからか私が期待している以上に良い経過を辿ることもあり、
うまく行かなかったからと言って簡単に諦めてしまってはいけないとも感じます。

いずれにしても必要とされる限りやらない理由はなく、そうするためには訓練をするしかありません。

 

今回のセミナーでは私の実施した胆嚢摘出の動画を
ビデオクリニックという形でセミナーに出席された先生方に供覧していただき、
人医の荻原先生にアドバイスをいただく機会に恵まれました。

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そうすることで、自分では気づかなかった視点や改善点を見つけることができ、大変有意義な時間となりました。

今よりもっと良くなるようにまだまだ修練は必要ですが、
何かお役に立てることもあると思いますので、手術でお困りの際はご相談ください。

 

また、この分野では質問をいただくことが多くありますので、
来月以降、ぬのかわ通信にも記事を上げていきたいと思います。

ご報告

こんにちは。
獣医師の池田です。

先月のことですが、これまで一緒に過ごしていた猫のタマが息を引き取りました。
享年20歳でした。

9年前に事故で後肢を断脚することになりましたが、
普段は3本足であることを忘れるくらい力強い足取りで、感心したものです。
一度、引越しの際に脱走したことがあるのですが、
追いかけてもとても追いつくことはできないくらい達者でした。

控えめな性格でしたが、頑固なところもあり、
同居猫のアオがご飯を取ろうと近づくと迫力のある唸り声で威厳を示していました。
普段はか細い声であまり声を出すのが得意ではないせいか、
ご飯が欲しくなると声を出さずにかごの取っ手をパタンパタンと音を立てたり、
紙をかじる音で知らせたりと工夫していました。
時折、大切な資料をかじっている時もあるので、
この音が聞こえた時は冷や汗と共にすぐご飯をあげなければいけませんでした。

なかなか頭がキレるなと感心したものです。

昨年に視力が低下してからは、
あまり体に負担をかけないように部屋の中でゆったりとした時間を過ごしていました。
アオとはあまり仲が良くなかったのですが、
一緒に寝ているときなどはとても微笑ましかったです。

11月に入ってからは、目に見えて弱ってきていて、食事もあまり食べなくなりました。

妻はタマが子猫の頃から一緒だったので、私以上になついていました。
タマにとっては、病院で過ごすよりも
なるべく自宅で妻やアオと一緒に過ごす方が良いように感じたので、
皮下点滴で負担を和らげながら過ごすことにしました。

仕事をしていると最期に立ち会うのは難しいかもしれないと思っていましたが、
11月6日の早朝、タマは私が職場に行く前にゆっくりと息を引き取りました。

きっとタマがお別れの挨拶をする時間を作ってくれたのだと思います。
最期の一息をするまで妻と一緒に見送ることができました。

もうすぐ49日を迎えます。
まだ寂しさが消えることはありませんが、
たくさんの思い出を残してくれたタマに感謝して、これからを過ごしていきたいと思います。
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内視鏡外科セミナー

こんにちは、獣医師の池田です。
先日の日曜日に大阪で開かれた
獣医内視鏡外科研究会の学術集会に参加してきました。

今回の学術集会には東京慈恵会医科大学の森川先生がいらして、
人の胸腔鏡外科についての講演をされました。

森川先生は胸腔鏡の名医で完全肺葉切除を行います。
人では開胸手術をすると術後の痛みが5年から10年に及ぶ一方、
胸腔鏡で手術をすると半年から一年くらいで痛みが消えるそうです。

動物は言葉が話せない分、痛みに対して人ほど訴えてくることはありませんが、
実は我慢していることも多くあるのかもしれません。
痛み止めのお薬や麻酔方法の工夫により抑えられる痛みもありますが、
手術自体の負担も出来る限り抑えてあげたいものです。

安全を確保しつつできるだけ手術の負担を取るためには
とにかく腕を磨くことにつきます。

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写真の鶴は内視鏡外科に使う鉗子で折ったものです。
市川先生という方が内視鏡外科のトレーニングに推奨されていて、
初めて折った記念すべき一羽です。
まだ不慣れでよれよれですが、
トレーニングを続けて手術を受ける動物が大きく羽ばたけるようにしたいと思います。

社員研修

こんにちは、副院長の池田です。

先日、社員研修を行いました。
当院には現在、獣医師12名、動物看護師12名、トリマー2名がいます。

今日の獣医療には多人数で取り組まなければ治すことができない疾患があります。
また、複数の医療従事者が様々な視点から診療に取り組むことは医療の質を高めることに繋がります。
しかし、互いに考えを共有する機会がなければ、せっかくのメリットが生かされません。
各自の意見を発信し、活発なディスカッションに繋げ、互いのコミュニケーションを促進することが重要です。

そこで、昨年から年1回、社員が集まって発表する場を設けるようにしました。
このように改めて発表する機会を設けることで、互いの考えをより深く共有することができ、
より良い医療の提供に繋がると考えています。

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写真は今回発表してくれたスタッフです。
現在、当院では犬猫の医療に関わる様々な分野をより広く、
また深めていくために互いの長所を伸ばし合う体制を整えております。
今月よりリニューアルしたホームページも当院のスタッフが各自得意分野を担当してくれ、ページの内容を作成しました。 (素敵なウェブサイトをデザインしてくださったメディカルデザイン様にはこの場を借りてお礼申し上げます。)
これからも、より良い治療を提供していけるようこれからも邁進してまいりますので、どうぞよろしくお願い申し上げます。

P.S.
今年度のノーベル生理学・医学賞はイベルメクチンの発見により線虫類の疾患の治療に多大な貢献をされた大村智先生が受賞されました。
このイベルメクチンという薬は、フィラリアを始めとした線虫類の特効薬で犬糸状虫症や回虫症など動物の疾患の治療にも欠かせない薬です。
人類だけでなく、様々な動物の命も救った薬を発見された大村先生の偉業に心より敬服致します。

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