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症例紹介

産科

子宮蓄膿症

こんにちは。
副院長の池田です。
不定期投稿と記載したものの、前回の投稿から1ヶ月空いてしまいました。今後はもう少し投稿回数を増やして行きたいと思います。

今回は、犬の子宮蓄膿症についてお話しします。

まず犬の生理(発情周期)の特徴について簡単にご説明します。
犬は概ね6~12ヶ月の周期で排卵が起こり、排卵した後2ヶ月間は発情休止期という時期を過ごします。発情休止期中は卵巣に黄体という組織が形成され、犬の場合妊娠の有無にかかわらず黄体は2ヶ月間ほど維持されます。

犬の発情周期
発情前期(10日前後)
→発情期(6日前後)
発情休止期(受精・着床している場合は妊娠期間)(60日前後):黄体期
→無発情期(5〜12ヶ月)

この黄体から作られるホルモン(プロゲステロン)が妊娠の維持にはとても重要で、赤ちゃんが子宮内で育ちやすい環境を用意してくれます。
しかし、赤ちゃんにとってとても重要な黄体ホルモンは、赤ちゃんがいない場合には子宮内に細菌が繁殖しやすい環境(子宮の過形成、子宮内の免疫力の低下など)を提供してしまいます。このことが犬で子宮蓄膿症が発生しやすい要因となっています。
犬が子宮蓄膿症を発症するのはほとんどの場合黄体ホルモンの影響がある期間に当たるため、生理が見られてから2ヶ月間の間は特に注意する必要があります。

子宮蓄膿症を発症した場合は、大量の細菌が体の中で繁殖してしまうため、発熱、食欲不振、多飲多尿、嘔吐、脱水などの症状が認められます。また、外陰部からの排膿が認められることもあります。子宮蓄膿症を発症すると比較的早期に全身への影響が表れ始め、進行すると全身性の炎症反応や敗血症につながり、重篤なときには多臓器不全を起こしたり、ショック症状を起こしたりして急死することもあります。

治療方法は内科治療と外科治療がありますが、完治させるためには外科治療が最も有効です。
内科治療は手術可能な状態に体を整える目的が主なものですが、どうしても子供を残したい場合は抗生剤やホルモン剤による治療を行います。しかし、母体にとっては外科治療以上にリスク(合併症や再発)を伴うことが多いため、より慎重な治療が必要となります。

実際に手術して取り除いた膿の充満した子宮
(クリックすると開きます;苦手な方は控えてください)

なお、出来る限り早期に治療するほど母体への影響は少なくなりますので、生理後2ヶ月以内に先程挙げた症状が見られたらお早めにご相談ください。

また、当院では早期に発見できた場合は子宮が大きくなっていないため、内視鏡(腹腔鏡)での手術も可能です。

 

開腹手術の傷痕

 

内視鏡手術の傷痕