咳外来
咳は喉、気管、気管支、肺にトラブルがあると出ます。また心臓病が進行することでも咳が出ます。はじめてわんちゃん、ネコちゃんの咳を見られる方は、その症状が咳だと気付かないことがあります。それが本当に咳なのか、更に咳の仕方によっては病変の位置の特定に役立つことがあるため、症状の動画を撮影してお持ち頂くことをお勧めします。治療は原因によって異なるため、咳が呼吸器からくるものなのか、心臓病によるものなのかを判断しながら原因を調べていきます。
- 気管が細くなり出る咳
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気管の粘膜同士が接触するために激しい咳がでます。咳をし始めると止まらなくなるため、咳を止める治療と気管の炎症をとる治療が必要になります。
- 気管支鏡検査
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気管虚脱の確定診断、重症度の評価、また細気管支の虚脱がないかを調べるのに有効です。呼吸のタイミングで画面下から気管が虚脱しているのがわかります。
- 心臓が大きくなり出る咳
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気管は心臓の背中側にあり、心臓病で心臓が大きくなると気管が背中側に圧迫を受け、その刺激で咳がでます。心臓病と咳に対する治療を考える必要があります。
- 気管支の炎症による咳
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気管支壁の肥厚が認められ、痰を吐き出す咳をします。咳は痰を吐き出すためにしているので、咳を止める薬は、痰を閉じ込めてしまい、病状の悪化を起こすことがあります。
痰を吐き出すことを促す治療を行います。
慢性疾患であり、放っておくと軽い咳だけの症状が、肺気腫や気管支拡張症を合併し、呼吸が苦しくなり、治療が困難になります。
いびき外来
いつもいびきをしている。ズーズー、ガーガーという呼吸音がする。いびきの途中で呼吸が止まる、また睡眠時に呼吸が苦しそうで眠れない。
主な原因
鼻から喉にかけての空気の通り道のトラブルが原因です。短頭種と呼ばれる犬種(ブルドック、パグなど)では空気の通り道が狭くなってしまうことが多く、その程度に応じて呼吸が苦しくなってしまいます。また他の犬種でも炎症や腫瘍、異物などによって同じ症状が見られることがあります。 細くなった空気の通り道を矯正する手術や呼吸を安定させるためのお薬が必要になります。
喉頭検査
喉の構造、動きを確認して気道閉塞がないかを確認する検査です。軟口蓋過長、喉頭虚脱、喉頭麻痺などの診断に有効です。
喉頭を塞いだ鼻咽頭ポリープの猫
呼吸困難で来院。
レントゲン検査で喉頭に大きな陰影を認め(写真1・黄色矢印)、喉頭検査を実施。
鼻咽頭から喉頭を塞ぐ腫瘤を確認。
気管切開を行い、全身麻酔下で腫瘤を摘出。(写真2)
診断は鼻咽頭ポリープであった。
手術後は呼吸困難はなくなり、元気に過ごしています。
鼻腔内視鏡
鼻水、くしゃみの症状が続く場合には慢性鼻炎や異物、感染や鼻の中にできものがある可能性があります。単純な画像検査で見つからないことも多いため、内視鏡検査が適応になることもあります。
動画は慢性鼻炎で鼻粘膜が充血し、浮腫がおきています。診断のため、一部を採取し病理検査も実施しました。
鼻咽頭部内視鏡
ズーズーといびきをかく、逆くしゃみをする、鼻水がでる症状は咽頭に原因がある可能性があります。図の赤印の鼻の後ろから喉の手前の咽頭鼻部と呼ばれる部位で、口から内視鏡カメラを挿入し反転することで観察することができます。
動画は鼻水が慢性的に出ており、鼻血もでるようになったため来院された症例です。鼻咽頭部にしこりがあり、検査の結果鼻腔内腫瘍であることがわかりました。
呼吸が苦しそう
呼吸困難という症状は息苦しさを自覚する症状ですが、わんちゃんや猫ちゃんは苦しいと教えてはくれません。息をはあはあ苦しそうにしていたり、浅く速い呼吸で苦しそうにしている場合などは呼吸困難です。呼吸困難の原因は呼吸器からの場合もありますが、どこかが痛くて呼吸が荒くなっていたり、血液成分の変化で過呼吸になっていたりするので、呼吸器疾患以外の原因の特定も重要です。
肺癌検診
人と比べてると肺がんの頻度はわんちゃん、猫ちゃん多くはないですが、高齢になると認められることがあります。症状がないことも多く、早期発見が困難です。また、症状があることがその後の治療の見通しが悪くなることもあります。 高齢にさしかかったら、一度健康診断をお勧めしています。
悪性組織球性肉腫(バーニーズマウンテンドック)
胸腔鏡で腫瘤化した肺を生検している様子
わんにゃんドックのレントゲンで肺に影が認められました。
胸腔鏡で肺を生検し病理検査で調べた結果、悪性組織球性肉腫でした。
腫瘍化した肺
肺に2箇所塊状の影が認められる
治療後、145日目に影は消失
抗がん剤治療、分子標的薬、免疫療法を行い、145日目のレントゲン検査で肺の影が消失しました。