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症例紹介

腫瘍科

インスリノーマ

こんにちは獣医師の布川智範です。
今回はインスリノーマという膵臓の腫瘍の症例をご紹介致します。

インスリンは血糖値を下げるホルモンですが、腫瘍化した膵臓からこのインスリンが大量に分泌されるため低血糖となり、様々な症状が引き起こされます。

症例

・トイプードル
・10歳
・主訴:低血糖による発作。他院で既に検査を受けており、インスリノーマが疑われるとのことでした。

 

検査・診断

各種検査を行い、CT検査では膵臓の右葉の先に腫瘤が認められました。(図・黄矢印)

腫瘤は外科的に切除可能な部位にあり、腫瘍の切除と膵臓の近くのリンパ節を摘出して転移の有無を確認する手術を行いました。


↑手術写真・矢印が腫瘤

手術で摘出した腫瘤の病理検査結果は膵島細胞腫瘍、検査結果よりインスリノーマと診断しました。
リンパ節への転移はありませんでした。

治療・経過

インスリノーマ・ステージ1と診断し、退院後飼い主さんと相談の上で補助治療は行わず経過観察をしていきました。

この症例は1年半の間発作もなく、非常に元気に過ごしておりました。
その後に再び低血糖が認められ、インスリノーマの再発が疑われました。

トセラニブという分子標的薬による化学療法を実施しましたが、薬による副作用が許容できないため、低血糖の内科治療を実施していくこととなりました。

その後は入退院をしながら緩和治療を実施し、再発して半年後にご自宅にて息をひきとられました。
当院に来院して2年間治療を頑張りました。

 

インスリノーマは診断時に既に転移をしていることが多く、悪性度が高い腫瘍です。
しかし、早期に治療を行うことで長期間の管理が可能な症例もいます。