鼻腔リンパ腫
こんにちは、獣医師の布川智範です。
今回は猫のリンパ腫の中でも多い鼻腔リンパ腫の症例をご紹介致します。
症例
・雑種猫
・14歳
・他院にて治療を行っていましたが鼻水・鼻血の症状が良くならず、食欲も無くなり鼻の腫瘍の可能性を指摘され当院を受診されました。
検査・診断
各種検査を行い、病理組織検査を実施した結果、B細胞性高悪性度リンパ腫(鼻腔リンパ腫)と診断しました。
治療・経過
飼い主さんと治療の方法を相談の上、化学療法を実施していくこととなりました。
治療前の写真
鼻の中の腫瘍が眼まで浸潤し、右眼が変位してしまっています。鼻血も認められます。
治療後の症例の写真
化学療法により腫瘍が寛解し、元の表情を取り戻しました。
リンパ腫を患ってから半年が経過しますが、現在は食欲もあり、元気に過ごしております。
今後も治療を継続していく予定です。
猫の鼻腔リンパ腫の中には治療することで長期に生存できる症例がいることがわかっています。
猫の鼻腔リンパ腫の治療方法には主に放射線治療、化学療法があります。
放射線治療は鼻の中に腫瘍が限局している場合や、複数回の麻酔のリスクが許容できること、放射線治療が行える施設に定期的に通えることなどが適応条件となります。
化学療法はリンパ腫が他の臓器に浸潤している場合に適応となり、半年から1年程度の通院が必要になります。
また、鼻腔内に限局していても化学療法は適応できます。
治療の選択には様々な視点から適応を検討する必要があるので、ご相談の上で治療方法を決定いたします。