僧帽弁閉鎖不全症の手術を受けるわんちゃんの手術部位、剃毛範囲について
こんにちは、動物ケアスタッフの秋元です。
わんちゃんの心臓病で最も多いのは僧帽弁閉鎖不全症という病気で、お薬を飲んで心臓の負担を減らす内科療法が主な治療法でした。
しかし、獣医療の発展によりわんちゃんの僧帽弁閉鎖不全症に対する外科手術も行われるようになり、当院でも外科治療を行うことが出来るようになりました。
※心臓外科手術についてはコチラ
今回は僧帽弁閉鎖不全症の手術の手術部位、剃毛の範囲についてお話しします。
僧帽弁閉鎖不全症の手術は数カ所の手術部位があり、衛生管理の為広範囲の剃毛が必要になります。
獣医師から手術前に口頭での説明はありますが、お話を受けても想像しにくく、分かりにくい所もあると思います。
そこで今回はルークちゃんにご協力いただき、写真を使って説明をしていきます!
まず、剃毛は以下の部位に行います。
皮膚切開を行う部位には(切皮)と書いてあります。
- 左頸部(切皮)
- 両前肢
- 左胸部(切皮)
- 左後肢
- 右内股(切皮)
- 尻尾
実際の写真がこちらです。赤い丸は切皮を行った傷口です。
- 左頸部・・・人工心肺装置と繋ぐためのカニュレーションを設置するための創部
- 両前肢・・・静脈点滴留置のため
- 左胸部・・・心臓手術で開胸を行う創部、胸腔ドレーン設置のため広い範囲で剃毛を行います
- 左後肢・・・静脈点滴留置のため
- 右内股・・・手術中の血圧測定、薬剤投与のための創部
- 尻尾・・・術後管理で経皮的動脈血酸素飽和度を測定するための機器を付けるため
入院中は感染を起こさないよう毎日傷口の状態の確認や消毒を行います。
しかし、術後わんちゃんの活動性が上がると傷口を気にするようになります。
そのため、入院中や退院後はエリザベスカラーやエリザベスウェアという術後服を使って傷口を保護します。
ルークちゃんの場合はエリザベスウェアを使って傷口を保護しました。
当院ではエリザベスウェアの取り扱いがあるため、ご自宅にエリザベスカラーや洋服がない場合はルークちゃんのようにエリザベスウェアを使って病院やご自宅で過ごしてもらいます。
(お手持ちの洋服を使用する場合はきちんと傷口が隠れるかの確認が必要ですので、一度動物ケアスタッフや獣医師にご相談ください。)
僧帽弁閉鎖不全症の手術について詳しく聞きたいという方や手術を検討している方は、獣医師 久津間、有山の診察で対応しますので一度ご連絡下さい。